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STUDY MAGAZINE VOLUME 11
STUDY MAGAZINE VOLUME 11
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ニューヨークを拠点に活動するフランス人編集者、作家、スタイリストのクリストファー・ニケ(Christopher Niquet)によるファッション&カルチャー誌。毎号一人のアーティスト、写真家、タレント、作家の意見や作品に焦点を当て紹介する。クリストファー・ニケは、これまでにカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)やクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)、アンナ・モリナーリ(Anna Molinari)をはじめとしたデザイナーの舞台裏で働き、『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』誌の寄稿ライター、『エル・フランス(ELLE France)』誌のエディター、『セルフ・サービス(Self Service)』誌のスタイリストを務めた経験を持つ。
アートディレクションは「Rupert Smyth Studio」が手がける。ファッション、アート、本を愛する人たちのコレクターズアイテムとして毎号異なるデザインで企画されている。
第11号は、芸術が生み出される場として神話化されることもある「アーティストのスタジオ」を特集。
フォトグラファーであるジェフ・ヘンリクソン(Jeff Henrikson)は、2025年春にニューヨークを無作為にまわり、11名の現代アーティスト、ジョー・ブラッドリー(Joe Bradley)、ジョン・チェンバレン(John Chamberlain)、フランチェスコ・クレメンテ(Francesco Clemente)、ジョーン・ジョナス(Joan Jonas)、マギー・リー(Maggie Lee)、ネイト・ロウマン(Nate Lowman)、ニック・マウス(Nick Mauss)、ウィン・マッカーシー(Win McCarthy)、R.H.クエイトマン(R.H. Quaytman)、ジェシー・リーヴス(Jessi Reaves)、オリヴィア・ヴィゴ(Olivia Vigo)のスタジオを訪ねた。そこは、思考が形となり、コンセプトがクリエイションとなる部屋であった。
ヘンリクソンが気づいたのは、ニューヨークの街と同じくらいそれぞれのスタジオが多種多様であるということだった。訪れたスタジオはアーティストのキャリアとともに拡大し、進化していくものであった。控えめな場所もあれば、広大で威厳を携える場所もあるが、そのどれもが、そこに息づく人物の痕跡を紛れもなく残している。それらは単なる作業場ではなく、彼らの心の延長線上にあり、本能と意思が出会う場所であり、芸術が始まる場所なのである。
芸術家のアトリエとそれを取り巻く環境には、長年にわたって積み重ねられてきた神話がある。それは、美術史の記録の中で延々と写真に撮られ続けてきた題材だ。我々はこのような創造の現場に引き込まれ、インスピレーションが芽生えた軌跡を盗み見する覗き屋になってしまう。しかし、ヘンリクソンはより不思議でニュアンスのある何かをもたらしてくれる。この記録は、ロマンティシズムを削ぎ落とし、その代わりに明快さを重視した研究なのである。
レジェンド的な存在であるジョーン・ジョナスのポートレイトが表紙を飾り、その姿は数十年にわたる活動と実践を定義づけてきた静寂な力強さと革新的な明晰力が滲み出るような風格を放つ。完成した作品を超えて、アイデアが最初に形となる私的で時に混沌とした空間を覗きこんだストーリーが集められたもの、ジョナスの存在はその指針となっているのである。
アーティストと彼らが形作る空間に捧げた本号では、また別でファッションという目線のレンズをギャラリーに向けた。ギャラリーはアーティストのアトリエと異なる場ではあるが、同じように緊張感や熱気に満ちた環境である。ギャラリーとは、芸術が作られる場所ではなく、展覧され、議論され、最終的に販売される場所だ。フォトグラファーのマリー・デトヌイユ(Marie Deteneuille)は、スタイリストのレイ・ボクサー(Rae Boxer)と協働し、モデルのサスキア・デ・ブロウ(Saskia de Brauw)を主役に、ギャラリストが持つ何かを率いる厳かな存在感にインスパイアされたビジュアル・ストーリーを作り上げた。
主体であると同時に客体でもあるデ・ブロウは、芸術の提供者としてだけでなく、その体現者として空間を移動する。その結果、ギャラリーの建築空間の中に存在しながらも、それを超越した女性の肖像が生まれている。彼女はディーラーであり、キュレーターであり、ミューズであり、そして傑作なのである。
コントリビューター:レイ・ボクサー、マリー・デトヌイユ、ジェフ・ヘンリクソン、ニコル・ホワイト(Nicole White)
softcover
180 pages
210 x 297 mm
color, black and white
2025
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